【2日目】渋谷時代:ド素人からのスタート ~詐欺に合う~

今日は、 前回に引き続き閉店のお知らせです。
【TAMARUSAN銀座店 閉店のお知らせ】
【2日目】渋谷時代:ド素人からのスタート ~詐欺に合う~
当初は、セレクトショップや雑貨屋での委託販売スタイルが中心。
商品に新しい技術を取り入れていくうち、製作工程が複雑になって、商品価格も上昇していました。
すると委託先から「当店の平均単価と合わない、もっと安いものを」と言われ、 次第に『自分たちの作りたいもの』と、『販売先が望むもの』が合わなくなっていったのです。
『自分たちの作ったものを自由にお店に並べたい』という想いがつのり、ついに1998年9月に渋谷へ出店。
それまでOLとクリエイターの二足のわらじを履いていた姉も、この時に会社を辞めて専念することになりました。
右も左もわからないままお店を出し、しかも2人とも接客が苦手とあって、笑顔ひとつまともに作れていなかったような気がします。
渋谷時代に一番印象に残っているのは、なんと言っても詐欺にあったことでした。
その日、私(妹)は事務所で仕事をしていましたが、店番をしている姉から半泣きで電話があったのです。
【姉】どうしよう、もしかして騙されちゃったかも
【妹】えっ!?何があったの?
【姉】黒ずくめの女性がきて、 「あれも素敵、これも素敵。これとこれとこれもいただくわ。ほーんとどれも全部素敵!」 「わたしのバッグ、洋服、ぜーんぶプラダなのよ。あら?やだ、お財布がないわ~!パパが持ってっちゃったのね。パパが戻ってくるまでここで待たせてもらうわね~」 って言って、ソファに座り込んだんだよ。
【妹】うん、それから?買ったの?全部でいくら?偽札?
【姉】全部で30万くらい。全部包装した後に、お財布がないって言い出して。そうしているうちに、 「これから千疋屋行ってメロンを買わないといけないの。悪いんだけど7千円ほど貸してもらえないかしら?」 っていうから~
【妹】え~っ!貸したの?それで商品は?
【姉】まだ続きがあって 「あ、もう一つメロンが必要だわ。あと7千円いいかしら?」 っていうから全部で1万4千円出しちゃったんだけど、あれから30分経っても、戻ってこないの~(泣)
【妹】「・・・」
【妹】今から行くから、とりあえず警察呼んでおいて
【姉】でも、まだ戻ってくるかもしれないし・・・(泣)
その後、警察に行って被害届けを出しました。 姉は警察のおじさんにも「まだ戻ってくるかもしれない」と訴えたのだとか。
【警官】「あのね、おねえさん。商売向いてないんじゃないの?今度騙されたら、商売やめたほうがいいよ」
「寸借詐欺」という言葉を覚えたのは、この事件がきっかけです。
新しいお店を調べてはターゲットにしていたようで、代官山にも出没したとか・・・。
残念ながら、逮捕されたという噂は入ってきていません。皆さんも詐欺にはご注意くださいね。
【商品について】
この頃は、樹脂の土台となる金属の部分や樹脂パーツの型も、市販のものを使用していました。
そして当時大流行していた、スワロフスキーやチェコビーズと組み合わせて仕上げていたのです。
商品の種類も、ネックレス・ピアス・イヤリング・ブレスレットのみでした。
ある時、お客様から「帯留めはありませんか?」と聞かれたのを機に、製作することに。
それからは、ループタイ・カフスボタン・眼鏡チェーンなど、どんどんアイテムの種類が増えていきました。
1点もののバッグがとても人気で、このままバッグ屋になるのでは?というほど。
製作も楽しかったです。
当時は、日本を飛び出してフランスの展示会にも出店していました。
滞在中には、バッグ作りのための布を探して布屋さん巡りをしたり、外国ならではの素材を探すのも宝探しのようでした。

(明日につづく)